2LDKの元!?カレ
すると、中から顔だけ覗かせたのは、見ず知らずの女性。
彼女は私がいることにはまったく気づいていない様子で、扉が閉まったままのリビングに向かって声を掛けた。
「先生、ドライヤーをお借りしてもいいですか」
――先生。
聡のことをそう呼ぶのはおそらく法律事務所の関係者だからだろう。
彼女の可愛らしい声に、奥にいる聡が「どうぞ」と答える。
その瞬間、ドクン、と痛いくらいに心臓が跳ねて、それと同時に手放したお弁当の袋が、大きな音を立てて床に落下した。
音に驚いて振り向いた彼女は、私の存在に気付いて驚いた様に目を見開く。
「……あ」
彼女は何か言おうと口を開きかけたようだった。
けれど私は、慌ててお弁当の袋を拾い上げると、逃げる様にマンションを飛び出した。