2LDKの元!?カレ



どこをどう歩いてきたのだろうか。

おそらく地下鉄にも乗ったはずだ。
気が付いたら編集部の扉の前にいて、斜めになったお弁当の入った袋をしっかりと握りしめていた。

「……かわいらしい人、だったな」

ぽつり、と呟いてみる。

西野くんをほったらかしにして帰宅して、バカみたいにうかれた気持ちでマンションのドアを開けたら、知らない女性がバスルームにいた。

おそらく彼女は、聡の新しい恋人。

着ていたシャツは聡のものだった。

よくあるシチュエーションだ。男の家でシャワーを浴びて、することなんて決まっている。もしかしたら、した後かも知れないけど。

それに名前ではなく、先生と呼んでいたことから察すると、付き合い始めたばかりなのかもしれない。

「いってくれればよかったのに」

そうすれば、いつもより早い時間にマンションへ帰ったりしなかった。

お弁当だって、買わなかった。

それに、ヨリを戻すだなんて、あり得もしない妄想をしないですんだんだ。


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