2LDKの元!?カレ
結局、本日の撮影は中止し、次週以降に延期することになった。
落ち込む暇もなく方々への謝罪の連絡を入れ、ヘアサロンとモデル事務所へは編集長と共に直接出向いて頭を下げた。
たくさんの人に迷惑をかけ、せっかく削減した予算も大幅にはみ出すことになってしまった。
みちるは私を心配してくれていたようだったけれど、話をする余裕すらなくて。
「志保子さん、帰れそうですか?」
西野くんがそう声をかけてきた時にはもう、時計の針は十時を回っていた。
「……あ。ううん、まだ帰れそうにないんだ」
私は彼に、どことなくぎこちない返事をする。
「分かりました。じゃあ、お先に失礼します」
「おつかれさま」
西野くんを見送ると、私は机の引き出しからブランケットを取り出して肩にかける。
「……少し冷えるな」
誰に言うでもなくぽつりと呟くと、腕をさすりながらまた、作業を続けた。