2LDKの元!?カレ



――私は、夢を見ていた。

これは、初めて聡と言葉を交わした日。

懐かしい学内の学習室。いつもと同じ席に私は座っていた。

『あの、すみません。小松、志保子さん?』

いきなり声をかけられて、しかも私の名前まで知っているその人を、正直怪しい人だと思った。

『……は、はい』

俯いたまま小さく返事を返すと、その人は私の目の前にUSBを差し出した。

『ああ、よかった。これ、君の』

それは私が使っているものと同じだった。

『昨日ここで取り違えたんだ。だから、君がオレのを持ってるはず。悪いと思ったけど、中を見せてもらった』
『うそ。すみませんでした』

私は自分のカバンから、取り違えたUSBを取り出した。

『これ。お返しします』

その時かすかに指先が触れて。トクン、と鼓動が揺れる。

『ありがとう。オレ、高比良聡。法学部の四回生』

柔らかな笑みを浮かべる彼は、それほど悪い人には思えなくて。

『私は、小松志保子です』
『うん、知ってる』
『あ、そうでした。私は文学部です。一回生』

思わず自己紹介していた。

『隣、すわってもいい』

そう聞かれて頷くと、彼は静かに椅子を引いて腰を下ろした。

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