2LDKの元!?カレ

そして、コホンと軽く咳払いすると少しいいにくそうに口を開く。

『それと。このレポート、全文読ませてもらったから』
『え、他人のレポートを勝手に読んだんですか?』

思わず声を張り上げると、周囲の視線が一斉に集まる。

私はハッとして口を噤んだ。

『ごめん。面白そうなテーマだったからつい』
『面白そうだからついって、そんな理由がまかり通るとでも思ってるんですか?』
『思ってないさ。だからごめんって誤ってるだろう』
『それ、謝る態度に見えません』

終始笑顔の彼を睨んでフイ、と顔を背ける。

すると暫くして、私の肩を人差し指でトントンと叩いた。

『じゃあ、お詫びついでにいいことを教えてあげる』
『……それって、本当にいいことなんですか?』
『そう、いいこと。だから機嫌を直して、こっちを向いてくれないかな』

“いいこと”という言葉に自分がどれほど弱いのかを、この時初めて知ったかもしれない。

交換条件を突きつけられて、あっさりと彼を許してしまうのだから。

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