2LDKの元!?カレ



「じゃあ、いただきます」

喫煙所から戻ってきた西野くんは私と隣り合わせのデスクに座ると、斜めに偏った松花堂弁当に嬉しそうに箸をつけた。

「ごめんね、ぐちゃぐちゃで」
「別にいいですよ、味は変わらないから。それにこれ、オレのためにわざわざかってきてくれたんですよね?なら尚更おいしいです」
「う、うん」

本当のことなんて言えない。私はぎこちなく頷いてみせる。

「これ、おいしいですね。金目鯛?」
「でしょ?ここの金目の煮つけが絶品なの。だからもう一つのお弁当も食べていいよ」

黙々と食べ進める西野をしばらく眺めると、給湯室にある給茶機サーバーからお茶を入れて来て、彼の目の前に置いた。

「ありがとうございます。小松チーフは食べないんですか?」
「私は、いいや。お腹すいてないもの」
「本当ですか?」

西野くんは、一口大にした金目鯛の煮つけを箸で挟むと、私の目の前に差し出した。

「どうぞ」
「え、いいって」

その瞬間、ふんわりと甘辛い醤油の香りが鼻をかすめて、私のお腹が大きな音を立ててなった。

お腹が空いてないだなんていったのに、恥ずかしいにも程がある。

赤面する私をみて、西野くんはプッと吹き出した。

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