2LDKの元!?カレ
「西野くん……鏑木シェフの件は?」
恐る恐る聞く。
すると西野くんは満面の笑みを浮かべて見せる。
その瞬間、私は確信した。
「もしかして」
「……はい。鏑木シェフはラルゴの取材を受けてくれるそうです」
「やった、やったね西野くん」
思わず大きな声を上げてしまい、ハッと口元を押さえる。
大崎さんはそんな私を呆れたようにみて、口を開いた。
「小松」
「はい」
「その企画12月号でいくわよ。異議のある人はいるかしら?」
大崎さんの決定はほぼ、覆ることはないのだが、絶対だとは言い切れない。
私は至妙な面持ちで皆の返答を待つ。
するとやがて、パチパチと拍手が鳴り始めたので、私はホッと胸をなで下ろした。
「じゃあ、決まり。企画書詰めて早めに提出しなさい。期待してるわ、小松」
最後はいつもお決まりのフレーズ。
そうわかっていても、期待していると言われれば、単純に私も嬉しい。
だから、それに応えようとしてしまうのだけれど。
つくづく大崎さんは人をやる気にさせるのが上手いのだと思う。
「はい、ありがとうございます」
ペコリと頭を下げると、自分の席に座る。
いつも以上に緊張していたのだろう。握りしめていた企画書は、汗でくしゃくしゃになってしまっていた。