2LDKの元!?カレ
なんだかかわいい。真田さんには悪いけど、この笑顔は独り占めしたいかもしれない。
そんなことを考えながら、日に焼けた鼻の頭を指でつつく。
「ずっと気になっていたんだけど……これ、どうしたの?」
「ああ、これはですね」
西野くんは日曜日、鏑木圭が所有するクルーザーで海釣りを楽しんだ後、彼の別荘で過ごしたそうだ。
音信不通だったのは、鏑木シェフときちんと向き合いたかったからだそうで。そんな彼の仕事に対する姿勢には頭が下がる。
「……口説かれたけど、断りました。心を許せる存在にはなれなかったのに、それでも取材許可をもらえたのは、鏑木シェフが先輩の企画を認めたからでしょう」
鏑木圭がそういったわけじゃないだろうに。西野くんはとことん褒め上手だ。
「そんなに褒めても、もうご褒美はあげないよ」
「ああ、大丈夫です。志保子さんはもうオレのものなので、ご褒美としてじゃなく、好きな時に好きなようにさせてもらいますから」
西野くんはフワリと私の頭をなでると、「仕事しましょうか」そういって給湯室を出ていった。