オクターブ ~縮まるキョリ~
翌朝、教室に入ろうとしたところでバッタリと永山くんに出くわした。
「あ、おはよう」
「っす」
永山くんは昨日と同じ仕草で軽く手を挙げる。
私も同じようにして手を振って、自分の席へと向かう。
「詩帆ちゃん、おはよ」
「おはよー由美ちゃん」
「ねね、詩帆ちゃんさ、永山くんと仲いいの?」
「え?なんで?」
席につくなり、隣の席の由美ちゃんが身を乗り出して聞いてくる。
「なんでって、永山くんがあんな風に女子に挨拶してるの見たことないもん!」
「そうなの?」
「そうだよー!私、去年も同じクラスだったけど、いーっつも一人で、あんまり誰かとつるんだりしてなくて…
なんか、一匹狼っていうのかな?」
私は由美の言葉を受けて、永山くんの方を見る。
確かに、昨日話した限りでは、ちょっとつっけんどんな感じもあったけど…。
でも、話をしてくれたし、きっと本当はすごく優しい人なんだと思う。