オクターブ ~縮まるキョリ~
「俺、窓際座りたかったんだよなー!ついてるわ!」
言いながら春瀬くんは荷物の整理を始める。
教科書やら何やらを引き出しにしまい、机の横に鞄を無造作にかける。
本当に、この席になったんだ。
す、すごい。
春瀬くんと隣の席だなんて。
しかも、春瀬くんは左端の席だから、隣にに居るのは私だけ。
こんな特等席、願ってもない!
気分がふわふわしていたところにふと視線を感じ、振り向くと、クラス中の女子がこちらを見ていた。
そこには嫉妬が混じっているような気がして、少し怖くなった。
それはそうだ、この席、誰もが憧れるに決まっている。
そして、席替えの奇跡はそれだけにとどまらなかった。
「樫原、俺、隣だ」
私の右手には、昨日初めて話したクラスメイトの姿があった。
「な、永山くん!」
永山くんはガタンと音をたてて椅子をひいて座った。