オクターブ ~縮まるキョリ~
ひとり残された私は、ソファにもたれかかった。
養護の先生はどこに行ったんだろう。
一向に帰ってくる気配がない。
部屋のドア近くの掲示板には「保健だより」が貼られている。
文字が小さくて記事の内容までは読めないが、「紫外線に注意!」という見出しだけはハッキリと読めた。
窓から風が入ってきて、髪の毛が右の頬をくすぐる。
その風の入口を見ると、白いカーテンがゆったりと波打つのが目に入った。
そこにあるベッドを囲っているカーテンだ。
きっと誰かがそこで寝ているのだろう。
「……暇だなあ…」
独り言に応えるようにして、風が入ってくる。
カーテンが、大きく膨らむ。