オクターブ ~縮まるキョリ~


……そう、あの日から。


確かに、嫌がらせを受けたりだとか、そういうことは無い。
でも時々、クラスの女の子から……いや、他のクラスの女の子からも、厳しい視線を受けることがある。
1対1で話してみれば、ごくごく普通に接してくれるし、基本的には優しいのだけど…。
あの子たちが何人か集まっているところを通るのは、少し緊張する。
何も言われないけど、なんだか視線が痛くて。


「……どうした?」


声をかけられ、また自分がぼーっとしていたことに気付く。
はっとして視線を隣に移すと、永山くんが帰り支度をしているところだった。


「なんか、どっかにトリップしてたけど」


永山くんはそう言いながら、私の方を見ずに席から立ち上がる。


「あ、ううん、なんでも…」

「そ。じゃな。」

「うん……あ、ねえ、永山くんも今日行くの?」

「え?今日?」


私の突然に問いかけに、永山くんはキョトンとした表情を見せた。
そして、すぐに合点のいった顔をした。


「ああ、祭りな。いや、俺はバイトあるし。」

「そっか…。」

「……樫原は、行くの?」


永山くんは、ゆっくりとした口調で尋ねた。



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