オクターブ ~縮まるキョリ~


「で、あんた達はこんなところで何やってんの。祭りの会場はあっちだよ」


永山くんはそう言って、あごでしゃくって自分の後方を示す。
今ここで何が起きているか、把握した上でのあえての発言だろう。


「……永山には関係ないでしょ。」

「そうだよ、あっち行っててよ」

「関係ならある。」

「はあ?何言ってんの?」


わたしを間に挟んで、女子たちと永山くんの応酬が繰り広げられる。
どうしよう。
私、このまま傍観していて良いのだろうか。
元々、私が彼女たちに連れて来られたのだから、私が止めた方が良いんじゃないあろうか。


そう思って永山くんの方を見ると、視線がまっすぐにぶつかった。
何か意思を持った眼差しに、心臓が大袈裟に反応する。


「関係なら、ある。」


永山くんはもう一度そう言い、女子3人へ視線を戻す。
うるさく騒いでいたセミたちが、いっせいにピタリと鳴きやむ。


まるでそれを待っていたかのようなタイミングで、永山くんが、言う。



「俺たち、付き合ってんだよ。」



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