オクターブ ~縮まるキョリ~
「……はぁっ!?」
女子たち3人が、同時に声をあげる。
私自身も、思いもおらない発言に息を飲む。
何かの聞き間違いかもと思ったが、女子たちの反応からして、私の耳は正しく彼の発言を捉えていたようだ。
セミの大合唱は、まだ休止したままだ。
あらゆる音が遠いこの環境で、そもそも聞き間違えるはずがないのだ。
まるでセミたちが「この男の言葉を聞け」と演出をしていたみたいだ。
私が、私たちが口をパクパクさせているのを気にも留めず、永山くんは言葉を続ける。
「彼女が困ってたら、彼氏の俺にも関係大ありだろ。」
彼女。
彼氏。
憧れるだけだった言葉に心が沸き立つ。
「え…、マジで言ってんの?」
私をここまで引っ張ってきた、真ん中の彼女が言う。
うそでしょ、というような表情を私に向けてくる。
髪に挿した花の飾りが、動揺を受けてゆらゆらと揺れた。
「詩帆を泣かせるやつは、女であろうと容赦しない。」