Wonderful DaysⅠ
御伽噺に出てくる王子のような外見。
優雅に微笑むその仕草に安心して近づく者も多いというが、騙されてはいけない。
全てではないが、彼の本性の一部を知っている俺は
「お久しぶりです」
この人を前にすると、生きた心地がしない。
理由は、毎回なにかと条件を出して、俺の弱点であるマリアとの婚約破棄をチラつかせるから。
普段、電話で遣り取りはしているが、直接会うとなるとその緊張感は一気に跳ね上がる。
「早かったな。約束の時間まで、まだ30分もあるぞ」
「マークさんこそ、いつから此処にいたんですか」
隙を見せまいとしているのに
「昨日から」
「……は?」
「このホテルに泊まっていたからな」
更にその上をいくマリアの兄。
「……………………」
いつか、この人を追い越したいと思っているのだが……
間抜けな顔になっているであろう俺を見て、クッと喉の奥で面白そうに笑うマークさんに勝てる日なんて来ない気がする。