Wonderful DaysⅠ
「否定しないのか」
意外そうな顔をするマークさんに
「嘘をついても、どうせバレるので」
本音を言えば
「それは、いい心掛けだ」
纏った空気を少しだけ和らげて、口角を上げた。
「……だが、なぜだ?」
「え?」
「俺との約束を破れば、婚約は破棄だと言ったはずだ。そのリスクを冒してまで、マリアに会ったのはなぜだ」
……この人、本当にわからないのか?
心底理解できないという表情で尋ねてくる彼を、真っ直ぐに見据える。
「貴方から、マリアが日本でカウンセリングを受けていると聞いたから」
「……………………」
「最悪、遠くから一目見るだけでもよかった。けれど……あのマリアを見たら、声を掛けずにはいられなかったんです」
二度と、あんな表情はさせたくなかったのに。
数日前のことを思い出して、奥歯を噛み締める。
「───そうか」
そんな俺を見て、ぽつりと呟いたマークさんは、何かを考えるかのように目を伏せた。