Wonderful DaysⅠ
「Can't see the forest for the trees.」
「……マークさん」
「日本では、“灯台下暗し”と言うんだったか? マリアを探すのに、少しは手こずっただろう?」
にやり、と意地の悪い笑みを隠そうともしないこの人は、俺の行動なんてきっと全てお見通しで。
「手こずったなんてもんじゃなかったですよ。死ぬかと思いました」
「そうか」
苦笑いした俺を見たマークさんは、悪戯が成功した少年のように楽しそうに喉の奥で笑った。
別れ際、20時にプライベートジェットで羽田空港を発つと言っていたマークさん。
きっと今頃は、マリアと一緒にイギリスに向かっているだろう。
目を開けて、窓の外に浮かぶ月を眺める。
次に彼女に会えるのは、五年後。
それまでに、やらなければならないことは沢山ある。
そう決心して、日々己を鍛えながらマークさんから送られてくる資料に目を通していたある日……
マリアを迎えに行くまで、あと一年半という頃。
突然、マークさんから一本の電話が掛かってきた。