Wonderful DaysⅠ
一瞬足を止めてそのまま立ち去ることも考えたが、まったく微動だにしないその影に向かって自然と足が動いていた。
人影のあるベンチから、少しの距離をとって立ち止まる。
動きを見せる気配のない人物に視線を向ければ、顔はよく見えないが予想通り女で。
眠っているように見えるが、小さく唸っている声が聞こえるから、もう目を覚ますのかもしれない。
白皇の動きをここから確認したかったが、目を覚ましてしまったら厄介だ。
女が目を開ける前に離れようと、振り返ろうとした時だった。
雲で隠れていた月がゆっくりと姿を現し、淡い光が公園内を照らしだす。
「…………っ………」
思わず、視界の端に入った女の顔を凝視してしまった。
───似ている……
その横顔が、記憶に残る彼女のそれと重なって息を呑んだ。