Wonderful DaysⅠ
……まさか。
マリアが、こんな所にいるはずがない。
頭ではそう思うのに、足は地面に張り付いたように動かなくなる。
もし、俺の予想通りマリアが変装していたとしても。
横顔だけは、見間違えない自信がある。
だが……それは、もう少し幼い頃の彼女のことで。
今のマリアは、もっと大人びているはずで確信が持てない。
それから、どれだけそうしていたのか。
声を掛けられないまま、その横顔を見つめていれば……
耳に聞こえてきたのは、微かなバイクの音。
フェンス越しに見遣れば、一本道を連なって動く光の線が見えて。
その光の先は、真っ直ぐに此処へと向かってきている。
───白石か……
内心で舌打ちしながら、その光の先頭を目で追いかける。
段々と大きくなってくる音を耳にしながら
「───おい」
一度大きく息を吸って、未だ目を瞑っている女に声を掛けた。