Wonderful DaysⅠ




葵が声を発するのと、俺が走り出したのはほぼ同時。

この距離から走っても、間に合わないことはわかっていた。

それでも酷い怪我を負う前に、なんとか助け出そうと思ったのだが……


「……………………」


俺の視界に映ったのは、鮮やかな回し蹴りを食らって気絶する白石の姿だった。


「女に手を上げるなんて、最低な奴!」


服についた土を掃いながら文句を言う女には、怪我も無く。


「君、強いんだね?」


残りの奴らを倒している俺の近くから葵が声を掛ければ


「まぁ、強制的に護身術を習わされていたので」


「え?」


「強制的って、誰に?」


「兄ですけど……」


自分の兄貴に、護身術を習わされたという。


───あの回し蹴りが、護身術?





< 741 / 757 >

この作品をシェア

pagetop