Wonderful DaysⅠ
葵が声を発するのと、俺が走り出したのはほぼ同時。
この距離から走っても、間に合わないことはわかっていた。
それでも酷い怪我を負う前に、なんとか助け出そうと思ったのだが……
「……………………」
俺の視界に映ったのは、鮮やかな回し蹴りを食らって気絶する白石の姿だった。
「女に手を上げるなんて、最低な奴!」
服についた土を掃いながら文句を言う女には、怪我も無く。
「君、強いんだね?」
残りの奴らを倒している俺の近くから葵が声を掛ければ
「まぁ、強制的に護身術を習わされていたので」
「え?」
「強制的って、誰に?」
「兄ですけど……」
自分の兄貴に、護身術を習わされたという。
───あの回し蹴りが、護身術?