Wonderful DaysⅠ
普段女に関心のない葵が、驚くほど優しく声を掛けているのを不思議に思いながらも、一緒に連れて行く事に反論はなかった。
本当ならば、俺や葵はこれ以上女に関わるべきじゃない。
色々な意味で。
それに、今の俺には女に構っている暇なんてない。
マリアを探さなければならないという、大事な用があるのだから。
「………………………」
頭では、そんなこと分かり切っているのだが。
葵の後ろからついてくる女のことが、気になって仕方がない自分がいる。
そんな感情に戸惑いつつ、先ほどまでの遣り取りを思い出す。
回し蹴りを食らわせて、気絶した白石に文句を言っていた時の女の目。
あの時……
色彩はまったく違うのに、一瞬マリアのそれに重なって見えたのだ。
……それだけじゃない。
一度気になり始めれば、女の醸し出している雰囲気もすべてが気になってしまう。
そんなことを考えながら歩いていれば、いつの間にかバイクを止めていた場所まで来ていて。
「後ろに乗れ」
無意識に発していた俺の言葉に
「「え?」」
二人の戸惑いを含んだ声が重なった。