Wonderful DaysⅠ





目の前の建物と女を交互に見て、「絶対此処じゃないだろう!」と思っているのは俺だけじゃないはずだ。

隣の葵も、困惑気味に女を見ているし。


「お前、本当に此処でいいのか?」


自分の目的地が、まさかのホストクラブだったことが信じられないのか、きょとんとしている女に声を掛けてみれば


「私も、心配になってきました……」


頬を引き攣らせて、建物の入り口に並んでいるホストに視線を向ける。

それでも数秒後


「取り敢えず、何か分かるかもしれないので聞いてきます」


意を決したのか、真っ直ぐにこっちを見てくるから。

女の両脇を持ち上げてバイクから降ろしてやれば


「ありがとうございます」


礼を言って、ホストクラブに向かって歩いて行く。


店の数メートル手前でそれに気づいた一人のホストらしき男が、歩み寄って笑顔で話し掛けていた。

その後ろ姿を見ていれば


「なぁ、あれ大丈夫かな?」


同じように、二人の遣り取りを見ていた葵が声を掛けてくる。



< 747 / 757 >

この作品をシェア

pagetop