Wonderful DaysⅠ
目の前の建物と女を交互に見て、「絶対此処じゃないだろう!」と思っているのは俺だけじゃないはずだ。
隣の葵も、困惑気味に女を見ているし。
「お前、本当に此処でいいのか?」
自分の目的地が、まさかのホストクラブだったことが信じられないのか、きょとんとしている女に声を掛けてみれば
「私も、心配になってきました……」
頬を引き攣らせて、建物の入り口に並んでいるホストに視線を向ける。
それでも数秒後
「取り敢えず、何か分かるかもしれないので聞いてきます」
意を決したのか、真っ直ぐにこっちを見てくるから。
女の両脇を持ち上げてバイクから降ろしてやれば
「ありがとうございます」
礼を言って、ホストクラブに向かって歩いて行く。
店の数メートル手前でそれに気づいた一人のホストらしき男が、歩み寄って笑顔で話し掛けていた。
その後ろ姿を見ていれば
「なぁ、あれ大丈夫かな?」
同じように、二人の遣り取りを見ていた葵が声を掛けてくる。