Wonderful DaysⅠ
男の言葉に、思考が停止する。
「───マリア?」
無意識に呟いていた声が聞こえたのか、女が不思議そうに俺を見上げた。
「…………………」
まさか……
今までだって、同じ名前の女なんてたくさんいたじゃないか。
大体、髪も目の色も違う。
頭ではそう思うのに、目の前の女から視線を逸らすことができない。
「あの……どうかしましたか?」
様子を窺うように掛けられた声にハッとする。
「お前、マリアって名前なのか」
我に返って、なんでもないように聞き返してみれば
「名前も名乗らずにすみませんっ! 私、周防マリアって言います。此処まで乗せて頂いてありがとうございました! このご恩は、一生忘れませんっ!!」
慌てて自己紹介を始めた女は、周防マリアと名乗った。
瞬間、全身の血が滾るような感覚に襲われる。
“ 周防 ”
それは、マリアの母方の姓で。
マリアの本名は、マリア・周防・ウィンザー。
目の前の人物は、間違いなく俺の探していたマリア・ウィンザーだった。