Wonderful DaysⅠ
「長年の思いが、やっと実現したんですから」
例え婚約者だと名乗らなくても、言葉を交わすことはできる。
五年前に見た悲しげなマリアの眼差しを、もう見過ごさずに済むのだから。
そう思えば、自然と頬が緩んだ。
『───そうか……』
ぽつりと呟いたマークさんはそれ以上何も言わず、また暫しの沈黙が流れる。
いつもならば、もっとピリピリとした空気に生きた心地がしないのだが。
今は不思議と、彼が纏う空気が穏やかなものに感じた。
『また連絡する』
そう告げた彼は
『……約束は違えるなよ、魁』
「もちろんです」
念を押すことを忘れずに会話を終了させた。