Wonderful DaysⅠ
スマホを胸ポケットに押し込んで、少し離れた所で待っていた葵に足を向ける。
「……待たせて悪い」
「もういいのか?」
待たせたことを謝れば、持っていた缶コーヒーを手渡されて。
「あぁ、サンキュ」
並んで壁に凭れた瞬間、自然と息を吐いていた。
───精神的に疲れた……
それでも、心は満たされていて。
「随分と嬉しそうだな。何か、いいことでもあったのか?」
葵もそれに気づいたらしい。
「……………………」
いいこと?
これ以上ないくらい、いいことがあったよ。
口角を上げて視線を向ければ、驚いたように目を丸くする葵。
思ったことが伝わったらしいその表情に満足して、暗闇の空を見上げた。
そこには、あの日と同じ綺麗な満月。
今は黒で隠されている鮮やかなエメラルドグリーンの瞳と、ハニーブラウンの髪を思い出す。
久しぶりに再会したマリアは、驚くほどパワフルになっていた。
くるくると変わる表情も、見ていて飽きなくて。
これからはそれを間近で見守っていけるのだと思えば。
さっき別れたばかりだというのに、もう君に会いたい。
~I want to see you.~
【完】

