The side of Paradise ”最後に奪う者”

   *


「いいよ、私この後予定ないから。
 ん」


綺樹は片手を出した。


「すいません。
 絶対、この借りは返します」

「はいはい」


綺樹は軽く流してリストを受け取った。

その日は授業に使う資料作成のため、高木がリストアップした図書から、該当部をコピーする仕事だった。

高木はすっかり頼むのを忘れていたらしく、帰り間際に頭を下げられた。

過去を思えば、このぐらいの仕事はどうってことないし、時間も宵の口だ。

涼の携帯は留守電だったので、メールで遅くなるからタクシーで帰ることを送っておいた。

アルバイトの男子学生と二人での作業だったのだが、彼女とデートの約束があったらしい。

この年頃はそういうことが大事なトピックスだよな、と思い、綺樹は自分一人で引き受けることにした。
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