The side of Paradise ”最後に奪う者”
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「いいよ、私この後予定ないから。
ん」
綺樹は片手を出した。
「すいません。
絶対、この借りは返します」
「はいはい」
綺樹は軽く流してリストを受け取った。
その日は授業に使う資料作成のため、高木がリストアップした図書から、該当部をコピーする仕事だった。
高木はすっかり頼むのを忘れていたらしく、帰り間際に頭を下げられた。
過去を思えば、このぐらいの仕事はどうってことないし、時間も宵の口だ。
涼の携帯は留守電だったので、メールで遅くなるからタクシーで帰ることを送っておいた。
アルバイトの男子学生と二人での作業だったのだが、彼女とデートの約束があったらしい。
この年頃はそういうことが大事なトピックスだよな、と思い、綺樹は自分一人で引き受けることにした。