The side of Paradise ”最後に奪う者”
「いってー」
「なんの真似だよ」
綺樹は怒鳴った。
体がぶつかった瞬間の香りと、キスで誰かわかった。
「わかっていたら噛み付くなよ」
涼は血が出ていないか指で唇を押さえて、確認した。
「わかっていたから手加減したんだろ」
綺樹は涼を睨み上げた。
「一体何のつもりだよ」
まだ怒鳴っていた。
「こんな遅い時間に、一人でこんな閉塞空間にいると、危ないのがわかったろ」
涼はドアまで行くと電気をつけて鍵を外した。
「用心しろよ。
俺だったからよかったものの、本当に不審者だったら自爆だぞ。
NYより安全だといえ、この頃脇が甘いのが見え見えなんだよ。
気が抜けてる。
一人で住んでいるんだから、気をつけろよって大丈夫か?」
綺樹はまだ涼を睨みつけていたが、肩で息をしていた。
涼の顔が引き締まる。