The side of Paradise ”最後に奪う者”

「そう?
 少しの間、混乱するでしょうけど、やがて感謝してもらえるんじゃないかしら?
 全て、終わってしまった後に思い出すよりも」


そんなに彼女の体は悪いのか。

確かに、全て終わった後に思い出し、どうしようもない状況だった時はとても怖い。

成介はため息をついた。


「動く時ね」


さやかの言葉の意味は、その後しばらくしてわかった。

ダバリードの商品について、日本における販売代理として西園寺と提携を結ぶ話が持ち上がった。

西園寺としてはおいしい話だ。

拒否する理由がなかった。

涼はテレビ会議で、さやかに“お久しぶりね”と言われて、面識があることだけ思い出した。

それ以上は無理だった。

追々思い出していくだろうと、自然の流れに任せることにした。
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