**吸血鬼と暴走族**[完]






目を覚ますと太陽は沈み、綺麗な満月が出ていた


俺は静かに自分の部屋を出て、庭で月を見ようと思い、足を進めた





庭には、立ったままで満月を愛おしそうに見る勇ましい父さんの姿があった


俺は、そんな父さんの姿に見とれていた


「目を覚ましたか?」


「!!!」


父さんは目を満月に向けたまま呟いた


「…彼奴と出会った日も、こんな満月だった。」


「……母さんと、ですか?」


「ぁあ。」


俺は父さんの隣に立った


「狼夜。高校は決まったか?」


「いえ……。」


俺は俯き気味で答えた


「…なら、蓬雷学園はどうだ?


あそこなら、達弥は理事長だしな。」


達弥さんが………?


そう言えば、理事長やってるって言ってたような……


………覚えてねえや


「あそこは俺が昔行ってた学校だしな。」


!!!


初めて知った


「はい。蓬雷学園に行きます。」


「あぁ。でも、無理するなよ。


……なぁ、狼夜。」


「………はい。」


俺と父さんは向き合う


「お前は、金龍の頂点に立ち、仲間を引っ張って行く覚悟はあるか?」


!!!!


……初めてそんな事を聞かれた


俺は………


「……自信はありませんが、覚悟なら出来てます。」


「……そうか。」


父さんは優しく、悲しそうな笑顔で呟く


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