君のところへあと少し。

5

不意に目が覚めた。


3年前の日和との出会いを思い出していた。

(あぁ、そっか。)

娘を、妹を嫁にやるような心境になってしまって。
ハルが無事に和也の彼女になって。
ホッとしたような寂しいような。

(それで日和とのこと思い出して夢に見ちゃった訳だ。あはは。)

今頃、ハルはナリの腕の中だろう。

あの小さなハルがとにかく規格が何でもデカいナリに壊されてなきゃいいけど。

(ま、大丈夫だろ。ってか何気にしてるんだか。)


ふと、自分の腕の中を見る。

スヤスヤと眠る日和。
愛し合った跡が身体に残る。

(ちょっと酷くし過ぎたかな…)


奏には昔から好きになるものには酷く当る癖があった。

好きな子、動物、生き物だけじゃなく、バイオリンだってそうだ。

でも、日和は全て受け入れてくれた。

もう3年。
いい加減、待たせるだけじゃダメだ。
約束しなきゃ、誰かに攫われた後に後悔しても仕方ない。

白く綺麗な背中を指でなぞる。

ビクン、と日和が身体を震わせる。

途端反応を始めた自分。

「日和…」

普段より低い声。

日和を求める時は何故かいつもこうだ。

「ん…奏?起きてたの…?」
「日和、もう1回。」

身体を入れ替え上から見下ろす。

「今度は避妊しない。
結婚しよ、日和。俺の子供産んで。」


寝惚け眼の日和はなにがなんやら、といった程で。

「え?」


有無を言わせず、いきなり、直に入り込む。

「や‼あ、、、っ」

これから先、俺が奏でるのは。

お前だけ。


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