東京ロマネスク~冷酷な将校の殉愛~《完》
「今日はありがとうございます」


「…私も貴方には冷たい事ばかり言ったわね…」



「いえ、私が何も出来ず、わからない嫁でしたから…」



屋敷に帰るまで車中。



私は定子さんに子育ての事を訊いた。



結婚5ヵ月目でようやく授かった子供。




征史さんにも早く報告したくて、うずうずしていた。



屋敷に入った途端、玄関先に置かれた黒電話が鳴り響いた。



定子さんが受話器を取って応対する。



「椿さん…征史さんからお電話ですよ」


征史さんから?



「もしもし、お電話代わりました。椿です…」



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