東京ロマネスク~冷酷な将校の殉愛~《完》
私たちは壁際に並んで佇んだ。



先ほどまで感じなかった緊張感が私たちを包み込んでいく。



「貴様は俺が嫌いなんだな…」



「…嫌いです…」




「なら、縁談話は進める」



「えっ?」



「俺は軍人だ。いつ何時…戦地に向かうかもしれぬ命だ。そのような俺を愛されては困る。愛は俺の足かせにしかならぬ」



「御堂中尉?」



「少し…失礼するぞ」



御堂中尉は私を置いて広間を出てしまった。







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