SS男子の落とし方
「やっぱり、内緒。」

そう言って、芽依から離れると彼女の顔は真っ赤だった。


「どうせ犬だとか思ってるんでしょ?」


「どうだろ?」


自分でも何を言いかけそうになったのか、分からない。


ただ無意識に浮かんだ言葉は、視界に入った女によって掻き消されてしまった。


「じゃあな。」


そう言って芽依が家に戻ったのを確認してから、後ろを振り返った。


「...久しぶり、咲也。」

そう言って、小さく笑う彼女は相変わらず綺麗でとてもあえかだった。
< 156 / 379 >

この作品をシェア

pagetop