SS男子の落とし方
「いきなり悪い。
ちょっと大丈夫?」

咲也君が尋ねるとマリアちゃんは小さく頷いて、扉を閉めた。


「今日は、前に話した大切な人を紹介しに来たんだ。」


その言葉に反応して咲也君を見たけれど、咲也君の横顔から真意が読み取れなかった。


「知ってると思うけど、芽依のことだよ。
マリアと同じくらい大切な人。」


"大切な人..."
心の中で呟いた。

本当になれてるかな?


「大切っていっても偽彼女でしょ?」


マリアちゃんの問いかけに咲也君は笑っただけで、何も言わなかった。


「...私、咲也がいないと駄目なの。
本当に駄目なの...」


うん、と咲也君はただ頷いた。
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