紙ヒコーキとアオイくん
「こないだはごめんね。紙ヒコーキぶつけちゃって」



言いながらあたしは、ペコリと軽く頭を下げた。

するとその男の子は、まったく感情を見せずに、いたって平然と頷く。



「いえ、別に。……ああそうだ、ちょっと待っててください」

「え、」



あたしがあげた疑問の声なんて、まるで聞こえていない様子で。彼は踵を返し、どこかへ行ってしまった。

一応ここ、学校の敷地内みたいだけど。それでも見慣れない場所にひとり取り残され、あたしは若干心細くなる。


そうして2分ほどもすると、彼はまた部屋の奥の方から姿を現した。

今度は距離を置かず、迷うことなくあたしのそばまで近付いてくる。



「これ。一応とっといたので、お返しします」

「……あ、」



言いながら差し出された彼の手の中にあったのは、あの日あたしが彼にぶつけた紙ヒコーキだった。

少しよれてしまっているそれを、手を伸ばしてそっと受け取る。
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