あの日の恋を、もう一度
「ちゃんと、『Einmal mehr』の中身見た?」
「…『Einmal mehr』…?」
『Einmal mehr』
私が知世ちゃんから借りていた本のタイトルだ。
…なんでそれを、河合が…?
「あれ?秀兄?…と、え…」
声がしたほうに振り向くと、
「―――知世ちゃん」
「えっ…え?!絢芽ちゃん?!」
河合の妹、知世ちゃんだった。
「よかったあ!その調子なら―――」
「知世」
その先はきっと、私たちにとって禁句。
そのために河合が知世ちゃんを止めてくれた。
知世ちゃんは何が何だかわからないといった表情で、私たち2人を見る。