あの日の恋を、もう一度
「……え、まだ?絢芽ちゃん、『Einmal mehr』を見て来たんじゃないの?」
「…『Einmal mehr』に何があるの?」
「えっ、もしかして見てない?」
「…うん、私あの後忙しくなっちゃって読む暇なくって…」
『それで今日、もう返しに来たの。』と。
そう言えば、なんだか焦ったように知世ちゃんは、
「…お願いっ、早く!絢芽ちゃん!」
「えっ?」
「お願いだから、『Einmal mehr』、見て…!」
縋【すが】るように私に言う、知世ちゃん。
『やめろ、知世』と、言う河合の顔は、とても悲痛な面持ちで。
―――なんなの。
なんなのよ、一体、何があるっていうのよ…。
そんな感情が私の中に生まれたのは、言うまでもないだろう。
でも、でもさ。
私たちはもう終わったの。
…私が、終わらせたの。
なのに、どうして今更…。
でも、気になるのも事実だった。
一体、その中には何が隠されていたのか。
それが、気にならないわけがないじゃないか。
でも、動くことができなくて。