あの日の恋を、もう一度
確かに麻衣は本当に中学からモテた。
河合もモテてたけど、男子代表・河合、女子代表・遠藤って言われるくらいにお似合いの2人だった。
だから、私は素直に身を引くことにしたのに。
なんでそんな風に言われなきゃいけないの?
胸が、苦しい。
苦しいのは、私なのに。
「…でも長田くん…」
「どうして私が、馬鹿みたいに一人の子しか見てない河合なんかと付き合わなきゃならないの」
「麻衣…」
「言っとくけどね!私は、絢芽が好きだから、河合のことが好きだったとしても身を引けるよ」
私たちが培ってきた友情って、そんな物だったの?!と声を荒げる麻衣。
そんな麻衣を見て、私は一体、どうしてこんなことを思ってしまったのだろうとひどく自分を問い詰めた。
けれど、それとは逆に、思い知った。
それほどまでに、私は、今でも、ずっと…―――河合が好きなんだ、と。
「…麻衣…私、馬鹿だった」
自分の変なプライドから、河合に別れを告げたのは、私自身。
麻衣と河合のことを受け入れたのは、自分の弱さから。
「…今更気づくなんて、最早相当の馬鹿よ」
何もかも、私自身のプライドのせい。
いつか、誰かが言っていた。
『恋愛において、意地やプライドを見せたら終わりよ』と。
素直になることが、絶対条件なんだと。
「…麻衣、ありがとう」
「…信じてるから。私は、今でも絢芽のことが好きなんだからね」