砂漠の舟 ―狂王の花嫁―(第二部)
「あ、いや……まあ、どちらにせよ、無事にバスィール国内に送り届けることは確実だ。歳も離れておるし、レイラーが望めば大公の下に送った後、ひとりで戻ってくるだろう。スワイドの行いを思えば、ふたたび会うことは難しいかもしれんが」
「それは……そうかもしれませんね。私が大公陛下……お父さまにお会いすることも、叶わぬかもしれません」
レイラーとスワイドの行いは、間違いなくクアルン王国とバスィール公国の関係にヒビを入れた。
大公はサクルを恐れ、レイラーを国外に出すか、神殿に閉じ込めるだろう。
クアルン王妃の座を自ら蹴った娘を手元には置けないはずだ。
そしてそのことに大公妃が黙っていないことも、容易に想像できる。
(次期大公も頼りにならないとあっては、近い将来、バスィールは荒れるであろうな)
大公一家と敵対するつもりはない。とはいえ、東の大国と手を結び、刃向かってきた場合はその限りではない。
リーンのためにも避けたい事態ではあるのだが……。
「あ、あの、サクルさま……やっぱり、妙な気配がします」
リーンは身を起こしながらテントの外を凝視している。
「それは……そうかもしれませんね。私が大公陛下……お父さまにお会いすることも、叶わぬかもしれません」
レイラーとスワイドの行いは、間違いなくクアルン王国とバスィール公国の関係にヒビを入れた。
大公はサクルを恐れ、レイラーを国外に出すか、神殿に閉じ込めるだろう。
クアルン王妃の座を自ら蹴った娘を手元には置けないはずだ。
そしてそのことに大公妃が黙っていないことも、容易に想像できる。
(次期大公も頼りにならないとあっては、近い将来、バスィールは荒れるであろうな)
大公一家と敵対するつもりはない。とはいえ、東の大国と手を結び、刃向かってきた場合はその限りではない。
リーンのためにも避けたい事態ではあるのだが……。
「あ、あの、サクルさま……やっぱり、妙な気配がします」
リーンは身を起こしながらテントの外を凝視している。