砂漠の舟 ―狂王の花嫁―(第二部)
今回それは、クアルン王の花嫁になるはずだったレイラー王女の不始末がきっかけだった。彼らは名誉を失った王女を、利用することを思いついたらしい。


――クアルン王から突き返された王女を、王太子妃として迎えよう。その代わり、これまで築いてきたクアルンとの絆を断ち切り、東の大国の庇護を受けよ、と――。


東の大国といえば、かの国が攻め入って来たから大公は砂漠に逃げたのだ。そして母と出会い、リーンが誕生した。

リーンにすれば、良くない兆しに思え、複雑な心境だ。


(レイラーさまにすれば良いことなのかしら? 王太子妃になるのなら……でも)


「酷いわっ、お兄さま! 東の大国の王太子さまといえば、もう四十歳を超えておられるじゃないの!?」

「レイラー、陛下の御前なのだぞ。言葉を慎みなさい!」


スワイドはカリム・アリーより早くレイラーを叱りつけ、サクル王に頭を下げる。


「申し訳ございません。末の王女として甘やかされて育ったもので。どうぞ、寛大なお心でお許しを」


レイラーが可哀相に思う一方で、もし、サクルが妻にすると言い出したらどうすればいいのだろう。

バスィール公国が東の大国に与することになれば、クアルン王国にとっては不利に違いない。小国とはいえ、ワンクッションあるのとないのとは大きな差がある。

そして、もしそうなれば……リーンは帰る国を失う。


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