砂漠の舟 ―狂王の花嫁―(第二部)
サクルは先ほどとは違い、リーンのほうは見ようともせず、スワイドに答えた。


「それで? 私にどうしろ、と」

「こちらのシーリーン……いえ、正妃様は我が公国の王女とこの度、証明されました。しかし対外的には、つい先日までレイラーの侍女であったという事実もございます。それを考えれば、どうかレイラーもこの国に留め置いていただけましたら」


サクルは数秒間を置いて、


「ほう、留め置け、か。リーン、お前はどう考える? 希望があるなら申してみよ」


思ったとおり、リーンに話を振ってきた。

きっと、彼はリーンを試しているのだ。なるべくレイラーのほうは見ないようにして口を開いた。


「わたしは……陛下のお心のままに。陛下のお決めになられたことに従います」


レイラーの視線が痛い。

でも、自らの口で夫に「自分以外の妻を娶って欲しい」とは言いたくない。

かといって、王の決断に醜い嫉妬で邪魔をするような真似は、正妃の行動として相応しくないだろう。

サクルが王として決断するなら……リーンはどんな運命も受け入れようと心に決める。


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