あの時とこれからの日常
「海斗一回ちゃんと検査した方いいかもよ?今日のこともろくに覚えてないんじゃさ」

少々不機嫌な声に海斗がさらっと笑う

「大丈夫だって。必要なことはちゃんと覚えてるから」

その発言もいささか失礼だと思うけど

「…まあいいけどさ。で、どちら様なのよ。珍しくちゃんと対応してたじゃない」

笑顔まで見せちゃってさ

「内科の看護師だったかな。今年採用になったんだって」

聞きたいのはそんなことじゃないのに、どうして海斗ってこういうことに無関心、無頓着なんだろう

むすっと唇を尖らせたしるふは、

「そういうこと聞いてるんじゃないの。この鈍ちん」

海斗の肩にもたれながら近くにある瞳を睨み付ける

「珍しく海斗がちゃんと対応してたから、どんなにかわいい子なのかって聞いてるの」

「ああ…、昔の患者だったんだ。その時すでに看護学校行ってて、で、黒崎病院に就職したから挨拶してくれただけ」

しるふの細められた瞳に、内心で笑う

「昔の患者さん?」

「そう」

ほー、と一瞬でしるふの瞳から不機嫌さが消える

「それはうれしいね」

一転、微笑むしるふに、ああ、と頷く

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