【短編】ばいばい
――ガチャ
「ばいばい」
――バタン
隼人が出て行った瞬間、その場に座り込んだ。
「……っく……っひ…」
今まで我慢してた涙が一気に溢れ出す。
私……馬鹿だ。
もう後悔してる。
でも、あのままだと辛くて。
哀しくてて空しくて。
「大……好きっ」
だったの。
「っふ……っく…」
涙は止まらなくて。
恋で、こんなに泣くなんて初めて。
恋って、こんなに苦しいんだね。
知らなかったよ。
来週、学校行ったら新しい彼女がいるのかな。
嫌……嫌。
何で私を好きになってくれなかったんだろ。
何で私じゃなかったんだろう。
何で上手く行かなかったんだろう。
頑張ったんだけどなぁ?
足りなかったのかなぁ?
――ピンポーン……
鳴り響くチャイムの音。
――ドキッ
うぁ……誰よ?
ビックリした。
あっ鍵開いたままだ。
こんな状態で出れないよ。
勧誘?
なら、ドア越しで。
宅配便?
だったらハンコだよね。
回覧?
じゃ挨拶しなきゃだよね。
――ピンポーン……
もう一度鳴るチャイムに動けない。
あーどうしょう?