甘ったるいくらいで
角を曲がってすぐ現れた姿に、あたしは笑顔でこういった。

「お帰りっ。」

階段を上りきってすぐに、掛けられた声に一瞬びっくりして。

でもすぐ、いつもの優しくてかっこいい笑顔で。

「ただいま。」



そういって、セイはあたしの髪を撫でた。


優しいいつもの笑顔。


「でも、危ないから、ちゃんと鍵かけて待っといて。」


最近この近くで起きた物騒な事件を、セイは気にしている。

あたしの頭には、ちっともそんなことはいってなかったけど。


・・・って、それが危ないのか。
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