神様修行はじめます! 其の三
罪人たちの夢の果て

・・・あの大騒動の後。

世界は、もうすっかり落ち着きを取り戻していた。



門川の屋敷も、人も、意外なくらい無事だった。

戻ってきた時に、ちょっと拍子抜けしちゃったくらい。

もちろんそれは、刺客部隊の活躍があったからだ。


でも実は、一番の功労者は刺客部隊じゃなくて。

敷地内に出没する、あのレインボー熊だったんだ。

熊たちが、七色の鮮やかな体で暴れまくって敵を迎撃!

まさに獅子奮迅の大活躍だったらしい。


・・・別に、熊は門川を守ろうとしたわけじゃないんだけどね。

自分達のテリトリーに勝手に入ってきて、大事な食料である雪を踏み散らす、不遜の輩。

見慣れぬそいつらに対して、熊の怒りが大爆発!

鬼神のごとく大立ち回りして、やっつけてしまったらしい。


普段は犬猫よりもおとなしいのに、食べ物の恨みは恐ろしいって教訓は、熊にも立派に通用するんだね。

今後、異常気象で雪が少ない年の無いよう祈るのみだ。


それと、騒動の最中に、敷地内のあちこちで白いヘビの姿が確認されたらしい。

背中に細い金の筋が走った、真っ赤なルビーのような目のヘビが。


沼の主さん、来てくれてたんだ。
ありがとう。会いたかったな。


世界はそんな風に、あっけないほど簡単に平穏を取り戻していた。

そして・・・


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