神様修行はじめます! 其の三
向かった先には、いつぞやのシンデレラの牛車が。


・・・おお! カボチャの牛車、雪国バージョン!


ロマンチック西洋牛車の車輪部分が、ソリに改良されてる!


もちろん引くのは権田原ご自慢、屈強の牛たち。


「ンモオォ――ウゥ!!」

「うああ―――!!」


しま子が半泣きで牛たちに抱きついた。


思いもよらぬ久々の再会を、共に心から喜び合っている。


よかったねぇ! しま子! そして牛!


凍雨君は睫毛をパチパチさせ、口をポカンと開けて呆然。


カボチャのソリ牛車と、牛に舐められ大喜びの赤鬼を見て、軽くパニック状態。


あたしは再びポンポンとその肩を叩く。


「ほんと、大丈夫だって。すぐに慣れるから」

「・・・・・・」

「では皆、行こうか。凍雨君、またのちほど」


門川君の声を合図にあたし達はゾロゾロと牛車に乗り込んだ。


「あ! しまった! ねぇ、目的地まで時間かかるの?」


「どうした天内君?」


「おしっこしてきた方いいかな? 門川君トイレ行ってきていい?」


「小娘! お前は慎みという言葉を知らんのか!」


「なによー! 慎みよりも膀胱の容量の方が切実問題でしょーが!」


「アマンダ、おしっこしたいんですの?」


「おしっこしたいっていうか、おしっこしたくなるかもっていうか・・・」


「若い娘同士で、おしっこおしっこ言うでないわ!」


「天内君・・・行くなら行くで、早く用を足して来たまえ・・・」


「はあ~~~い」


牛車を降りて大急ぎでトイレに駆け込んだり。


戻ってきたら今度はお岩さんが「あ、やっぱりわたくしも」って牛車を降りたり。


絹糸のイライラと、セバスチャンさんの苦笑いと、門川君の溜め息と。


凍雨君は全くこのノリについてこられず、パニック継続中。

< 81 / 460 >

この作品をシェア

pagetop