神様修行はじめます! 其の三
あたしは牛車の中に座り直した。


「ねぇお岩さん、そういえばお婿さん探しはどうなったの?」


お婿さん候補が行列をつくってるって話だったよね?


あれから決まったって話は聞かないけど。


「あー、ダメですわ。どれもこれも」


「そうなの? より取りみどりって言ってたよね?」


「帯に短し、たすきに長し、ですわ。ピンと来るのがいなくて」


お岩さんは手をブンブン横に振り、やれやれといった顔をする。


「ふう~~ん。そうなんだ」

「いい婿を探すのも一苦労ですわねぇ」


絹糸がセバスチャンさんをチラリと見た。


セバスチャンさんは表情を変えずに、たずなを握っている。


それを見て絹糸の視線も元に戻った。


 ? なんだろ。今の意味深な視線は。


門川君がお岩さんに話しかける。


「岩さんも結婚相手を探すのに悩んでいるのかい?」


「え? ええ、まぁ・・・」


「僕もだよ。能力が高く、信頼の置けそうな好人物を探すのは骨が折れるね」


「はぁ・・・」


「なんといっても、一族を共同で運営する相手だからね。妥協はできない」


お岩さんが様子を伺うようにあたしに視線を投げる。


あたしは苦笑するしかない。


うん。そうなの。彼の結婚観って、今のところ、そーゆー事になってるの。


絹糸が門川君に問いただす。


「のぅ永久、お前は小娘の事を好いておるよな?」


「ああ、もちろん僕は天内君の事が好きだ」


門川君はしっかりと頷いた。

あたしの胸がトクンとときめく。

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