神様修行はじめます! 其の三
牛車は立派な庭園を滑り抜けていく。
雪が無いから、牛たちが力技で引っ張っているんだ。
すっごい怪力。さすがは権田原の牛。
それにしても、まぁ、立派な庭だこと!
広さもそうだけど、造りそのものが本当に素晴らしい出来栄えだ。
「見事な庭だねえ!」
「本当ですわね! 初めて見ましたけれど、これは素晴らしいですわ!」
植木の種類、庭石の配置。全体の構え。
渾然一体となった世界は溜め息が出そうなほど。
よほどの名人が作り上げた会心の庭だろう。
「なんかさ、門川の庭と同等並みのハイレベル?」
「ええ。わたくしもそう感じますわ」
・・・家来、なんだよね? 門川の。
えっらいセレブな家来だなぁ?
「端境の一族は、元は非常に由緒ある一族だったらしい」
「それが大昔、大変な失態をしでかしての。門川が総力を挙げてその尻拭いをしたんじゃ」
「なんとか一族断絶だけは免れて、以来、専属の家来になったそうだよ」
あたしとお岩さんは顔を見合わせた。
そして同時に質問する。
「大変な失態って?」
絹糸はクシクシと顔を撫でる。
「んむ、まぁ、ずいぶんと大昔の事なのでのぅ」
「忘れちゃったの? 絹糸が忘れるくらい昔の事?」
「セバスチャン、何か聞いてませんかしら?」
「さあ? わたくしめも存じ上げません」
絹糸も知らないくらいじゃ、世界の誰も知らないだろうな。
そんな大昔の事じゃねぇ、忘れられても無理ないや。
過去は埋もれて行くものだしね。
雪が無いから、牛たちが力技で引っ張っているんだ。
すっごい怪力。さすがは権田原の牛。
それにしても、まぁ、立派な庭だこと!
広さもそうだけど、造りそのものが本当に素晴らしい出来栄えだ。
「見事な庭だねえ!」
「本当ですわね! 初めて見ましたけれど、これは素晴らしいですわ!」
植木の種類、庭石の配置。全体の構え。
渾然一体となった世界は溜め息が出そうなほど。
よほどの名人が作り上げた会心の庭だろう。
「なんかさ、門川の庭と同等並みのハイレベル?」
「ええ。わたくしもそう感じますわ」
・・・家来、なんだよね? 門川の。
えっらいセレブな家来だなぁ?
「端境の一族は、元は非常に由緒ある一族だったらしい」
「それが大昔、大変な失態をしでかしての。門川が総力を挙げてその尻拭いをしたんじゃ」
「なんとか一族断絶だけは免れて、以来、専属の家来になったそうだよ」
あたしとお岩さんは顔を見合わせた。
そして同時に質問する。
「大変な失態って?」
絹糸はクシクシと顔を撫でる。
「んむ、まぁ、ずいぶんと大昔の事なのでのぅ」
「忘れちゃったの? 絹糸が忘れるくらい昔の事?」
「セバスチャン、何か聞いてませんかしら?」
「さあ? わたくしめも存じ上げません」
絹糸も知らないくらいじゃ、世界の誰も知らないだろうな。
そんな大昔の事じゃねぇ、忘れられても無理ないや。
過去は埋もれて行くものだしね。