神様修行はじめます! 其の三
案内に従って、門川君を先頭にゾロゾロ屋敷を進んでいく。


見晴らしの良い渡り廊下みたいな所を案内された。


白石を敷き詰めた庭。大きな池。


池にかかる朱塗りの反り橋。平橋。大小の中島。


その全貌が眺められる。ほ~・・・最高のロケーション~。


結構良い人じゃん、この人。


門川君が当主とはいえ、一族秘伝の儀式に招待してくれるなんてさ。


人は見かけで判断しちゃダメだよね。


お歯黒はちょっと怖いけど。まぁこれも文化よ文化。


・・・・・ん?


進むにつれて、体が何かを感じ始める。


なんていうか・・・エネルギーみたいなもの。


場の中にエネルギーが漂っていて、それが皮膚の感覚を刺激する。


あたしが感じ取れるぐらいだから、当然みんなも気が付いた。


「当主よ、これは何かの?」


「儀式に必要な、力場の高まりにおじゃりまする」


「ずいぶんと圧縮された力を、進行方向から感じる気がするが?」


「さすがは門川当主様。お察しの通りにおじゃりまする」


ちりちりとした刺激がジワジワと増していく。


気のせいか、じんわりと熱さまで感じるような。


「この力を溜める為に、麻呂が屋敷を離れる事が叶いませんでした」


申し訳なさそうなマロ当主さんがそう言った。


そのために、当主みずから屋敷に缶詰状態だったって事か。


廊下の行き止まりは、池に乗り出すように突然に途切れていた。


あれ? なんにも無いや。なんで?


でも力は確かにそこから感じられる。

< 93 / 460 >

この作品をシェア

pagetop