神様修行はじめます! 其の三
「しま子は外で見張りを任せた方が万全かと存じます」


「うあぁっ?」


「えー? しま子だけ入れないのぉ? そんなの可哀想だよ!」


抗議するあたしにマロさんも同調してくれた。


「権田原の従者殿、何も案ずる事はおじゃりませぬが?」


「はい。ただわたくしめは、自分なりに当主を守る為の最善を尽くす使命がございますので」


慇懃な姿勢と態度でセバスチャンさんはそう言って、しま子に向き直る。


「しま子」

「うああぁ~~・・・」

「しま子も自分の最善を尽くしてくれますね?」

「・・・・・」


しま子はショボンとしてしまっている。


セバスチャンさんはしま子の手を強く握って言い聞かせた。


「しま子、どうか聞き分けてください」

「うぅ~~・・・」


しま子は丸い目でセバスチャンさんとあたしの顔を交互に見比べた。


少し寂しそうな、そして不安そうな顔をしながらも


「・・・あっ、あっ」


納得したようにコクコクと何度も頷いた。


あたしはガックリする。


「そんなあぁ~~・・・」

「小娘、まあ仕方ない。我らは永久の護衛役なのじゃぞ?」

「それは・・・」


・・・うん。そうだね。遊びに付いて来たわけじゃないんだ。


自分の役目はきちんと果たさなきゃ。


「しま子、ごめんね? ここで待っててくれる?」


「あっ、あっ」


「どこにも行っちゃダメだよ? ちゃんとここで待っててね?」


「うああぁ~~!」


笑顔で頷くしま子。

あたしもその笑顔に気を取り直す。


「行って来ます、しま子! ここで待っててね!」


手を振るしま子に手を振り返し、あたしも中へ入っていった。
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